コラム

かつては住宅の屋根の上には必ず設置されていた魚の骨のような形をしたアンテナ、それが八木式アンテナです。現在はいろいろなタイプのアンテナが登場していますが、それでもこの八木式アンテナが第一選択となることが多いようです。

では、実際にどのようなお家にお勧めなのか、解説していきましょう。

八木式アンテナはUHFアンテナとして地上デジタル放送の電波を受信

八木式アンテナは1924年に開発されたもので、まもなく100年を迎えます。100年経っても主流なのは、それほど性能が優れていて、それを超えるようなものがなかなか現れないからです。現在は、主に地上デジタル放送の電波を受信するUHFアンテナとして用いられています。

構造は下記の4つに分かれており、それぞれで役割が違います。

・導波器…電波を放射器に導く役割をしています。本数が多いほど、電波を受信する性能が上がります。
・放射器…導波器で導かれた電波を集め、給電部へ送る役割をしています。
・給電部…放射器から送られてきた電波に給電をして、電気的な信号に変えています。
・反射器…アンテナの後方からの不要な電波を遮り、必要な電波を放射器に反射させています。

魚の骨のような金属の棒は素子（エレメント）といいますが、この素子で電波を受信しており、数によって電波の受信能力が変わります。家庭用として一般的に販売されている八木式アンテナは14素子か20素子のものですが、電波の状況が悪い地域用に26素子、30素子のものもあります。つまり、電波の受信状況に合わせたアンテナを用いることで、場所や地域を選ばずに地デジ用の電波を受信することができるのです。

八木式アンテナをよく見る場所といえば、やはり屋根の上です。受信性能が高いため、設置場所を選びませんが、それでもやはり電波塔から電波が届く位置に設置する必要があります。そのため屋根の上がベストポジションなのです。ただし電波の受信状況が良ければ、屋根裏や壁面などに設置することも可能です。

屋外に設置することによるデメリット

八木式アンテナは受信性能が高く、どこにでも設置できるといったメリットを紹介しましたが、反対にデメリットも見てみましょう。

・自然環境に弱い

八木式アンテナは屋外に設置することが多いため、風や雨、台風、強風、大雪などによって故障したり、劣化を早めることがあります。特に、その形状から強風などに煽られると、素子が折れたり、落下することもあります。

また鉄でできているので、酸性の雨を浴びることでサビやすい傾向があります。海の近くの住宅では、潮風の影響を受けて劣化が早まるとされます。

・鳥害に遭いやすい

アンテナの形状は、鳩やカラスなどの鳥が止まりやすい形状をしています。そのため鳥が止まることで、アンテナが傾いたり、糞害などの鳥害に遭うことがあります。糞の影響で屋根が汚れたり、劣化を早めるという二次被害も想定されます。

・外観を損ねやすい

見た目の問題なので、気にする人と気にしない人がいますが、八木式アンテナの形状が住宅の外観にそぐわないと敬遠する人もいます。

八木式アンテナはどのような家に設置するのがおすすめ？

これまで解説したメリットとデメリットを踏まえ、どのようなお家にふさわしいか、見ていきましょう。

・屋根の上以外にアンテナを設置できないお家

外壁やベランダなどに設置できるのであれば、ボックスアンテナという選択肢もありますが、電波の受信状態が悪ければ電波は受信できません。その場合は、やはり屋根の上に八木式アンテナを設置することになります。

・価格を安く抑えたいケース

八木式アンテナのメリットの一つが価格の安さです。シンプルな作りになっているため、価格が低価格なのです。一般的に市販されている八木式アンテナでは、15,000円～30,000円が相場です。

これに対して、ボックスアンテナは25,000円～40,000円前後になります。特に新築住宅を建てるのであれば価格は抑えたいという方も多いでしょう。そうしたケースでも八木式アンテナが選ばれています。

・すべてのお家

前述したように、八木式アンテナは100年近くも利用されているアンテナです。その理由は性能が優れているからで、八木式アンテナ以上のアンテナが登場していないという証でもあります。

普通、性能が優れていると価格は高くなりますが、八木式アンテナの場合は電波受信の性能が優れているのに、他の製品に比べて価格が安くなっています。

一方、デメリットとして紹介した見た目やメンテナンスの問題もどう捉えるかで違ってきます。
性能が良く、設置場所や設置方向が限定されないアンテナですから、どのお家にもお勧めできるのです。

まとめ

魚の骨のような形は、シンプルで電波の受信しやすい形状になっています。そのため価格も安く、それなのに高い性能を誇っています。デメリットが気にならなければ、どのお家にもお勧めできます。

今後、アンテナを新しく取り付ける、交換するといった予定があるご家庭は、ぜひご相談ください。親切に対応させていただきます。
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