『利得は高いほうがいい?』八木式アンテナの原理と構造を簡単に解説!
2023.01.19
アンテナ工事
家の屋根の上に設置される魚の骨のような形状をした、昔ながらの八木式アンテナ。
八木式アンテナは、1926年(大正15年・昭和元年)に、工学者八木秀次氏と助手の宇田新太郎氏によって生まれました。
約100年後の今でもFMやTVの受信アンテナから、アマチュア・軍用などの受信アンテナとして広く普及しています。
「いったいどんな原理で電波を受信してるの?」
今回は、そんな疑問に答え、八木式アンテナの原理と構造について、わかりやすくまとめました。
豆知識としてぜひ読んでみてください。
八木式アンテナの原理
八木式アンテナはいったいどのような原理で、放送局からの電波を受信しているのでしょうか?
空気中を漂う電波を、効率よく受信するためには、八木式アンテナのような一方向からの電波を強く受信できる指向性アンテナが適しています。
八木式アンテナで、電波を受信する流れを解説します。
・電波の受信
電波塔などから発せられる電波は電界や磁界の変化により電流を発生させています。
その空間の電気信号を導線へ誘導したり、電波を送信したりするのがアンテナの役割です。
その電磁波を受信する時には、逆に八木式アンテナ周囲にある電磁波によって、アンテナに流れる電流を発生させ、導線に高周波電流を流して受信機に伝えます。
八木式アンテナは、方向を限定することで、より強い電波をキャッチできます。しかし少しでも方向が異なると電波を受信できなくなってしまうため、アンテナの向きは数ミリ単位での調整が必要です。
・電波の増幅
八木式アンテナは、一方向からの電波を増幅して受信できる指向性アンテナです。
全方向から電波を受信できる無指向性アンテナとは異なり、電波の発信源から遠く弱い電波でも電波を特定の方向に集中させて受信できます。
超短波を空間に放射する放射器の前に短い金属導体を置くと、一方向に集中して受信できることがわかっています。
金属棒の数や向きを計算して設置すると、別方向からの雑音を排除でき、必要な電波のみを増幅して受信できるのです。
これは電波の共鳴現象によって、 素子に流れる電流の位相の変化を利用したものです。
・電波の反射
アンテナ後方からの不要な電波を遮り、前方からの必要な電波を反射器に反射させて、給電装置に電波を送ります。
アンテナ本体に障害物を置くことで、一方向からの強い電波を受信できるようになります。
八木式アンテナの構造
八木式アンテナは、放射器よりわずかに長い反射器、わずかに短い導波素子を前後に配置すると、任意の方向からの電波を強く受信できます。
各機器の役割を紹介します。
・導波素子
導波素子は、八木式アンテナを魚の骨に例えると小骨の部分で、電波を捕まえ放射器に導く役割をもつ機器です。
この導波素子の数を増やすと受信できる面積が増えるため、利得(アンテナ電波を強める度合い)が増します。
しかし、導波素子の数が多ければ無限に利得が増えるわけでもなく、12素子以上になると利得が増えなくなります。沸騰した水が100度以上にはならないようなものです。
さらに受信感度を増やしたい場合は、複数のアンテナを重ねて設置するという方法もあります。
アンテナ利得について詳しくはこちら
「アンテナ利得」とは?基本情報を徹底解説
・反射器
反射器の役割は、後方からの余計な電波を遮ること、前方からの必要な電波を反射させて逃さず給電部に送ることです。
高域反射器は高い周波数の電波を遮り、低域反射器は広域反射器で遮れない電波を遮っています。
・放射器
放射器の役割は、導波素子で捕まえた電波や、放射器にぶつかった電波を吸収し、給電部に送ることです。
給電部で電波を電気信号に変換してから、同軸ケーブルを通ってテレビまで届けます。
八木式アンテナの利得は高い方がいい?
利得とはアンテナの感度のことで、導波素子が多いほど利得が高く、受信しやすいアンテナです。
アンテナの利得が強いほどよいと思われがちですが、強すぎて受信トラブルが起こることもあるため、その地域や立地条件に合った性能のアンテナを選ぶ必要があります。
電波は親局、中継局から離れるほど弱くなり、電波の強さにより「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」と電界地域が決まっています。
テレビを快適に見るためには、お住まいの地域がどの電界地域なのかを確認し、適切な素子数のアンテナを選びましょう。
電界地域やアンテナ選びについて詳しくはこちら
【強電界地域と弱電界地域でのアンテナの選び方】
まとめ
今回は、八木式アンテナの原理と構造について解説しました。
記事の内容について、簡単にまとめました。
- 八木式アンテナは「導波素子」「反射器」「放射器」で電波を捉え、「給電器」「同軸ケーブル」を通って、室内のテレビへ電波を送っている
- 素子の数を増やすと受信性能は高くなるが、12素子以上増やした場合はそれ以上は利得は増えない
- 利得が高ければよいわけではなく、電界地域に合わせて最適にものを選ぶ必要がある
一方向からの電波を集中して強めて受信する八木式アンテナは、雨や風などでアンテナの方向が少しズレただけで、電波の受信状況が悪くなります。
テレビの映りが悪い場合、アンテナの専門家が確認すると、意外に簡単に解決することは多いです。
アンテナのトラブルや設置の際はさくらアンテナまで、お気軽にご相談ください。
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