「アンテナ利得」とは?基本情報を徹底解説
2022.02.07
アンテナ工事
アンテナの性能を表す指標の一つに「アンテナ利得」がありますが、一体何を指しているのかわかりますか?
アンテナ利得について理解しておくと、適切なアンテナを選ぶことができ、既存のアンテナが適切なものかどうかを判断することができるようになります。
そこで今回のコラムでは、アンテナ利得に関する基本的な情報を徹底的に解説していきます。
アンテナ利得とは、受信した電波に対して出力できる大きさを表す数値
アンテナ利得はアンテナの性能を表す数値の一つで、受信した電波に対して出力できる大きさを表しています。つまり、電波を受信する際の効率の良さがわかるのです。
この利得の単位はdB(デシベル)で表しますが、数値が高いほど出力効率が高いという意味のため、「数値が高い=性能が高い」と判断することができます。同じ強さの電波であれば、利得の高いアンテナの方がより出力強度が高くなる、つまり電波をキャッチしやすくなるということなのです。
また、電波が弱く、通常のアンテナではなかなか出力できないような場合であっても、利得が高いアンテナであれば問題なく受信して出力できる可能性が高まります。
アンテナ利得の数値は、基準となるアンテナに対しての電力の比率
アンテナ利得を表す数値であるdB(デシベル)は、基準となるアンテナとの出力レベルを比べるための指標です。つまりデシベルが0であれば、基準となるアンテナと同じレベルであることを意味しています。
利得の数値が高い方が性能が良い、つまり電波を受信しやすいことになりますが、デシベルが2倍、3倍の数値だからといって、性能が2倍、3倍になるわけではありません。デシベルは常用対数の計算式で求めているため、通常の計算方法とは異なります。下記のように覚えておきましょう。
3dB…基準アンテナの2倍
6dB…基準アンテナの4倍
20dB…基準アンテナの100倍
アンテナ利得のデシベル数を表す際の基準となるアンテナには、2つの種類があります。1つが「ダイポールアンテナ」、もう1つが「アイソトロピックアンテナ」です。それぞれ下記のような特徴があります。
ダイポールアンテナ…シンプルなアンテナで、正確に計測しやすいものです。ダイポールアンテナを基準にした利得を「相対利得」といい、単位はダイポール(dipole)の頭文字を取って「dBd」、または通常通りdBで表記します。
アイソトロピックアンテナ…どの方向にも同じ電界強度で電波を放射するという、実際には存在しない仮想のアンテナです。アイソトロピックアンテナを基準にした利得を「絶対利得」といい、アイソトロピック(isotropic)の頭文字を取って「dBi」という単位を用いて表します。
単位の表記を確認することで、ダイポールアンテナかアイソトロピックアンテナか、いずれのアンテナを基準にしたアンテナ利得なのかがわかります。ぜひ覚えておきましょう。
アンテナ利得が高いだけでは選んではいけない理由
これまで解説してきた通り、利得の数値が高いアンテナほど性能は高くなります。そのため、アンテナを選ぶときには利得の高いものを選びたくなりますが、単純に利得が高いだけで選ぶのは避けましょう。なぜなら、利得が高いアンテナは設置が難しいからです。
利得が高いアンテナの設置が難しいことには、アンテナの「指向性」が大きく関係しています。指向性とは、電波を受信できる方向のことを表しており、アンテナには「無指向性アンテナ」と「指向性アンテナ」の2種類が存在します。
無指向性アンテナは、どの方向からでも電波をキャッチすることができますが、指向性アンテナの場合には、一定の方向からの電波しかキャッチすることができません。一般的には、ラジオのアンテナは無指向性アンテナを用い、テレビのアンテナには指向性アンテナを用いています。
この指向性と利得には相対関係があり、利得が高ければ指向性も高くなります。つまり、アンテナの指向性を高める(方向を限定する)ことで、より強い電波をキャッチすることができるようになります。しかし、そのためには電波の方向を見極めたうえで、適確な位置・角度にアンテナを設置する必要があり、確かな技術力が要求されます。
利得の高いアンテナは、このように設置が難しいという点に加えて、トラブルが起きやすい点にも注意が必要です。利得が高いということは、指向性が高い、つまり方向が限られていることを意味するので、風や雨、積雪や地震などの影響で少しアンテナがずれただけでも、電波をキャッチすることができなくなってしまいます。中には、アンテナに鳥が止まったということが原因で、テレビが観られないといった事例も存在します。
そのため、電波状況が良い地域では利得の高いアンテナを設置すると、かえって電波を受信できないトラブルにつながることが考えられます。電波状況の良いところでは、受信効率が多少悪くなったとしても、指向性が低く受信範囲が広い、指向性の低いアンテナの方が適しています。このように、アンテナを設置する際には、そのエリアの電波状況に合わせた利得のアンテナを選ぶことが重要なのです。
弊社では、アンテナに関する知識が豊富なスタッフが多数在籍しており、地域や住宅に合わせた性能を持つアンテナを提案しています。ぜひご相談ください。
まとめ
テレビアンテナを設置する際の豆知識として、アンテナ利得について解説しました。ご自身で選ぶときはもちろん、アンテナ業者がおすすめするアンテナを比較検討する際にも役立つはずです。ぜひ覚えておいてください。
また現在使っているアンテナの利得は、取扱説明書やカタログに記載されていますので、気になる場合は確認してみてください。
もし手元に取扱説明書やカタログがない場合には、メーカーのホームページで確認することも可能です。ぜひ参考にしてみてください。
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