【違いも解説!】テレビアンテナの分配器について基礎知識と注意点
2023.06.23
アンテナ工事
地デジや衛星放送のテレビアンテナは、アンテナケーブルを通じて複数の部屋や機器に信号を分配しています。
これは分配器と呼ばれる装置を使用して行われていて、分配器に接続することで、アンテナからのケーブルは複数のケーブルに分かれ、各部屋や機器にテレビ電波を送信することができます。
分配器を選択するときは、分配できる数や他の設定との兼ね合いも重要で、安易に分配数の多いものに交換すると、トラブルが生じる可能性もあるので、慎重に選択する必要があります。
今回は、分配器の基礎知識と注意点について説明させていただきます。ぜひこちらを参考に、適切な機器選びと使用方法を理解してください。
【役割と注意点】そもそも『分配器』とは?
テレビアンテナの分配器は、アンテナからの一本のケーブルと複数のケーブルを接続し、テレビの電波を均等に分配する装置です。
主に地デジアンテナやBS/CSアンテナから各部屋への配線や、部屋内の複数の機器への接続に使用されます。
分配器は一個の入力端子と複数の出力端子からなり、外見は長方形の箱型です。分配数は2分配器~8分配器まであり、現場の要件に合わせて選ばれます。
設置時の重要なポイントは、分配器が入力された電波レベルを均等に分配することです。
電波レベルはデシベル(dB)で表され、分配器を通るとわずかに減衰します。したがって、分配器の設置場所や電波レベルの判断が重要です。
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戸建てのアンテナ配線とケーブル分配のしくみ
戸建て住宅のテレビアンテナ配線では、『地デジアンテナ』と必要に応じて『BS/CSアンテナ』を設置します。
地デジアンテナでは地方チャンネルの受信に制約がある場合、別途地方局専用のアンテナが必要な場合があります。
2基以上のアンテナを設置する場合、『混合器』を使って地デジ、BS/CS、地方チャンネルの電波を一本のケーブルにまとめます。
これにより、アンテナ配線や機器の設置を最小限に抑え、コストやトラブルのリスクを軽減できます。
『アンテナブースター』は設置される場合が多く、受信したテレビ電波を増幅する役割を果たします。
低電界地域や複数のテレビを設置する場合などに必要になります。ブースターはアンテナの近くに設置され、電源が必要です。
ブースターには屋外用や室内用、地デジ専用のUHFブースター、地デジと衛星放送に対応するUHF・BS/CS混合ブースター、さらに4K8K対応型などがあります。
アンテナ本体、ブースター、混合器は近い位置に設置され、電波を受信し必要なレベルを確保し、ケーブルをまとめる機器です。
分配器はこれらの機器から延びるケーブルを接続し、各部屋へのテレビ電波の分配を行います。
分配器は交換やメンテナンスがしやすい場所に設置されます。また、分配器から延びるケーブルは、各部屋のアンテナコンセントに接続されます。
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分配器の注意点
①電波レベルに合わせた最小限の分配数を選ぼう
分配器は、アンテナからのテレビ電波を分配する数に応じて、出力端子のケーブルに分けて配信します。
地デジ電波の場合、安定した視聴にはアンテナからの電波レベルが「34㏈から89㏈」の範囲内であることが必要です。
実際には季節や天候によって微妙に変動するため、「46㏈から81㏈」の範囲内で、最低でも「40㏈以上」のレベルが必要です。逆に「90㏈」以上の強すぎる電波レベルも問題を引き起こすことがあります。
その為、分配器を交換して分配数を増やす場合は注意が必要です。分配先の電波レベルが不足し、全ての部屋で映像が映らなくなる可能性があります。
新規設置時も同様で、必要最小限の分配数に予備の端子を追加する必要があります。
分配器を交換して分配数を増やす際には、テレビアンテナとブースターからの電波レベルを確認し、増やす分配数に合わせてブースターで増強する必要などがあります。
全体のアンテナ配線を考慮し、各分配先に十分な電波レベルが届くように調整しましょう。
②新4K8K衛星放送に対応した分配器を選ぼう
現在の分配器は、地デジや衛星放送に対応していますが、2018年から始まった新4K8K衛星放送では、従来の2K衛星放送より高い周波数帯の電波が使用されています。
新4K8K衛星放送のためには、従来の2K対応アンテナでは受信できず、2K4K8K対応のBS/CSアンテナが必要です。
ただし、旧来の分配器やブースター、アンテナケーブルは新しい周波数帯に対応していないことがあります。
その為、新4K8K放送を視聴するには、4Kや8Kテレビと対応したBS/CSアンテナだけでなく、分配器やブースターも「4K8K(3442MHz)対応」のものを使用する必要があります。
既存のアンテナ配線を使用する場合は、分配器などの交換も必要になる場合がありますので注意しましょう。
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③予備の出力端子に『ダミー分配器』を設置しよう
住宅内のアンテナコンセントが4カ所の場合、予備の1端子を持つ分配器を使用します。
この場合、予備の出力端子には「ダミー抵抗器(終端抵抗器)」を設置しておく必要があります。
ダミー抵抗器は、使用されない出力端子からの電波漏れや外部からの電波混入を防止するために設置されます。
外部からの電波混入は画面の乱れや他のデバイスへの電波障害の原因になることがあります。
特に新4K8K衛星放送の電波は高い周波数帯を使用しているため、無線LANやスマートフォンの電波と競合しやすく、通信障害の原因になることがあります。
その為、新4K8K衛星放送を視聴する場合は、予備の出力端子にダミー抵抗器を設置して電波混入を防ぎましょう。
➃カスケード接続(タコ足配線)を避けよう
アンテナ配線でのカスケード接続(多段接続)・タコ足配線はなるべく避けましょう。分配器の数が増えると、電波レベルが必要なレベルに届かなくなる可能性があります。
各部屋の複数の機器にテレビ電波を送りたい場合は、必要最小限の分配数の分配器を使用するか、ケーブル一体型やブースター内蔵型の分配器を利用しましょう。
また、一台の機器の入力端子にアンテナコンセントからのケーブルを接続し、同じ機器のアンテナ出力端子から短いケーブルで他の機器の入力端子に接続する方法もおすすめです。
⑤『分波器・分岐器』と間違えないようにしましょう
分波器や分岐器は分配器と似た形状をしていますが、異なる性能を持つため、分配器として使用することはできません。購入時には注意が必要です!
・分波器:地デジとBS/CSアンテナの電波を分離し、それぞれのチューナー端子に接続するための機器です。
・分岐器:入力されたテレビ電波を複数の出力端子から送り出す役割を持ち、メインの出力端子と分岐端子があります。
分岐器は一般の住宅ではあまり使用されず、大型マンションやビルなどで複数の部屋にテレビ電波を送る場合に利用されます。
建物内でケーブルを複雑に分岐させ、必要なレベルの電波を分配するために使用されます。
まとめ:分配器の重要性と交換時期
住宅のアンテナ配線には分配器の設置がとても重要で、テレビ電波の分配やBS/CSアンテナへの通電経路として機能します。
分配器の内部回路は使用により劣化するため、一般的には10年程度の寿命だと言われます。
トラブルがなく長く使える場合もありますが、基本的には10年以上経った分配器は交換を検討することが推奨されます。
また、分波器や分岐器との混同を避ける必要もあります。
適切な分配数や送信するテレビ電波の種類、BS/CSアンテナへの給電方法などを考慮し、適切な機器を選択することが大切です。
さくらアンテナでは【無料お見積り・現場調査(電波測定)】を行い、アンテナ配線のトラブルなども最短即日対応させていただきます。
ぜひ、お気軽にご相談ください!
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