東京スカイツリーの電波塔としての役割とは?
2022.03.31
アンテナ工事
東京の観光名所となっている東京スカイツリーですが、本来の役割は電波を首都圏の各地に届ける電波塔です。
なぜ東京スカイツリーが必要になったのか、また電波塔以外にどのような役割をしているのか、今回のコラムでご紹介します。
高層ビルが並ぶ都心でも電波の送受信に影響がないように計画
テレビ番組や写真、さらには実際に東京スカイツリーを見たことがある人は多いと思いますが、東京スカイツリーが開設された経緯をまずは確認しましょう。
東京スカイツリーの開設に向けて本格的に議論が始まったのが、関東地方で地上デジタル放送が開始された2003年12月のことです。在京テレビ6社(NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)による「新タワー推進プロジェクト」が発足したことで、本格的にスタートしました。
プロジェクトが発足した理由は、地上デジタル放送は始まりましたが、都心部に200メートルを超える高層ビルが建ち並んでいるため、電波の送受信に影響があることが懸念されたからです。また2006年4月に携帯端末向けのデジタル放送サービス「ワンセグ」のエリアが拡大する予定だったことも、新タワー開設を後押ししました。
プロジェクトの発足当初から、目指していたのは600メートルを超える新タワーの開設です。それは送信高が東京タワーの約2倍となることで、高層ビルによる電波衰退化の影響を低減できると見込んだからです。
プロジェクトは、東武鉄道が筆頭株主となる「東武タワースカイツリー株式会社」が主体となり、事業費は約500億円、建設費は約400億円、総事業費は約650億円という計画でスタートしました。新タワーを中心とした複合開発事業のコンセプトを「REP」(Rizing East Project)とし、次の3つのエリアで構成されることとなりました。
① 東京スカイツリー(電波塔)
② 東京ソラマチ(商業施設)
③ 東京スカイツリーイーストタワー(オフィス施設)
2012年2月に建物が完成した後は、4月にFMラジオ(NHK、J-WAVE) の本放送と、タクシー無線(関東自動車無線協会)の本運用が開始され、本格的な運用が開始されます。さらに10月にはTOKYO MXのサイマル放送(東京タワーと東京スカイツリーの両方から放送)が開始されます。
さらに翌年の2013年5月には、TOKYO MX送信点の移転が完了し、東京スカイツリーからの放送のみとなりました。また在京テレビ6社の本放送も開始されました。
この後、2015年12月に在京AMラジオ3社(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)と、FM補完放送の本放送が開始され、現在と同様の電波塔としての役割を担うようになりました。
放送用送信アンテナを取り付けた500〜600メートル部分はゲイン塔
東京スカイツリーには、電波塔としての役割を果たすために各種の設備が設けられています。アンテナ部分で言えば、約500〜600メートルのあたりはゲイン塔と呼ばれ、放送用送信アンテナが取り付けられています。
展望回廊の上下には通信用アンテナなどが設置されており、さらに展望デッキの下に移動体無線用アンテナが設けられています。これらのアンテナで関東一円にある放送所や通信用基地局などに電波を送信しています。
また、大災害時にも電波塔機能を確実に維持できるように、構造設計や基礎構造などに独自の構造設計を施しているのが特徴です。通常の設計では想定しない地震や強風に対しても、構造安全性の検証を行い、電波塔としての機能を維持できるようになっているのです。
上階に重要設備を配置しているのは、水害に備えてのことで、想定外の水害にも対策は万全です。異なるルートを持つ信頼性の高い二回線受電方式を採用しているため、災害時にも情報を発信できるようになっています。
非常時に対応する機能としては、防災センターを設けており、24時間365日体制で東京スカイツリータウンを一元管理しています。災害発生時には、対策拠点として機能することもできるのです。
高さを生かし、電波塔以外の役割も果たす
東京スカイツリーでは、その高さを生かして電波塔以外にも様々な役割を果たしています。
・雷観測…地上高497メートルの地点に雷観測装置が設置されており、雷の特性を解明するために活用されています。地上高497メートルの高さに設置されている雷観測装置は、世界でも例が多くないとされています。
・雲内観測…約300メートル付近には大気質観測装置、458メートルのところには雲内観測装置も設けられています。大気質観測装置では大気組成や温室効果ガスなどについて、雲内観測装置は雲の特性を解明する研究に用いられています。
ちなみに東京スカイツリーが本稼働したことで電波塔としての役割を終えた東京タワーですが、現在もFM放送の電波送信を行っています。また、災害などによって東京スカイツリーから放送電波を送信できない場合に備えて、予備の電波塔として利用されることにもなっています。
まとめ
2022年は東京スカイツリーの運用が開始されて10周年の記念の年です。すでに東京のシンボルとなっている東京スカイツリーですが、電波塔という重要な役割以外にも雷観測や雲内観測なども行われており、人々の暮らしを支える存在となっています。
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